湯湘竹、10年眠った『沙央』を映画化 王禮霖が監製を引き受け実現
台湾の映画監督・湯湘竹が、約10年にわたり実現の機会を待った脚本『沙央(SAYANG)』を長編劇映画として完成させた。『富都青年』の監督として知られる王禮霖が脚本を読み、監製を引き受けたことが企画を動かす転機になったと、鏡報のインタビューで語っている。
湯湘竹によると、海中撮影に加え、歌や踊り、CGを含む大規模な制作が想定され、資金集めやスタッフの確保が難航した。王禮霖は2022年初めに脚本を読んだ後、すぐに湯湘竹へ連絡したという。王は、マレーシアで育った自身が見てきた民族間の理解や和解を描く物語に価値を感じたと話しており、監督は彼を冗談交じりに「飛び込んできた魚」と呼んだ。
映画はマレーシア東海岸を舞台に、華人、マレー人、インド系の家庭で育つ若者たちの成長と家族のつながりを描く。湯湘竹の娘・湯詠絮は、耳が聞こえず言葉を話さない少女を演じるため、手話や鼓、フリーダイビングを学んだ。父は撮影中、娘を一人の俳優として扱ったと振り返り、二人で映画を作った時間が娘の記憶に残ればと願いをつづった。
『沙央』は第63回金馬獎で脚本賞、助演女優賞、新人賞、音響賞、視覚効果賞の5部門にノミネートされている。長く形にならなかった脚本が、監製の参加を得て撮影へ進み、家族や多民族社会を描く作品として観客に届いた。