Fanlio推し情報局国内外の推しニュース

故アン・パンソク監督の演出が息づく『恋愛博士』 日常の揺れを描いた最後のロマンス

10月5日に放送が始まったENA月火ドラマ『恋愛博士』は、故アン・パンソク監督が最後に手がけた作品だ。機械工学科の博士課程にいるパク・ミンジェ(チュ・ヨンウ)と、進路に迷いながら大学院で新たな道を探すイム・ユジン(キム・ソヒョン)が、研究室で出会い恋を育てていく。

10月13日放送の第4話までに描かれたのは、二人が少しずつ互いを意識するようになる過程。病気で片脚を失い、水泳選手の夢を断念したミンジェは、ロボット工学に新しい目標を見つけた。一方、衣類学を学んでいたユジンは機械工学の大学院へ進み、慣れない環境に踏み出す。偶然の出会いの後、同じ研究室で再会した二人は、些細な誤解や寂しさを重ねながら距離を縮めていく。

大きな事件より、積み重なる感情を

本作の魅力としてニュース1が挙げたのは、劇的な事件を急いで重ねず、登場人物の暮らしと感情の動きを丁寧に追うアン監督らしい演出だ。恋が始まる瞬間を大げさに飾るのではなく、日常のやりとりの中で生まれる戸惑いやときめきをすくい取る。その穏やかな歩幅が、二人の関係を身近に感じさせる。

アン監督は『白い巨塔』『密会』『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』『ある春の夜に』『卒業』などで、人間関係や恋愛を現実味のある筆致で描いてきた。『恋愛博士』にも、俳優の感情を受け止める長い呼吸と、人物の日常を見つめる視線が通っている。

作品とともに残る別れ

アン監督は2026年7月に脳出血で倒れ、治療を続けた後、8月12日に64歳で亡くなった。『恋愛博士』は撮影と編集を終えた後に放送を迎えた遺作となる。作品を見届ける喜びと、これが最後の新作になった寂しさが重なり、何気ない場面にも監督の演出の歩みが感じられる。

若い二人の恋を通して、特別ではない毎日に宿る感情を描く『恋愛博士』。アン監督が長年向き合ってきた人間の機微を、最後のロマンスの中に改めて見つけられる。