是枝裕和監督がコロナ禍に実写化を決意した『ルックバック』 創作を支える「背中」と音
是枝裕和監督が藤本タツキの漫画『ルックバック』を実写映画にしようと決めたのは、コロナ禍であらゆる制作が止まっていた時期だった。記事の映画評は、立ち止まった人が過去を振り返り、もう一度描き始める物語に、走り続けてきた作り手自身の時間が重なると読み解いている。
物語の中心は、漫画を描く小学生の藤野と、登校できず家で描き続ける京本。二人は出会って一緒に作品を作るが、別れと喪失を経験する。映画は、悲しみを想像の中だけで終わらせず、藤野が再び自分の手で描く方向へ進む姿を描く。評者は、創作に向かう二人の姿を「無謀でも自分で経験すること」の大切さに結びつけた。
映画版では、京本が背景画に惹かれていく場面が明確になり、窓の外の季節や制作机に向かう後ろ姿も物語を担う。鉛筆やペンが紙を走る音も丁寧に重ね、漫画を描く時間そのものを映画の表現にした。記事は、漫画家たちが役作りのため数か月にわたり描画を練習した制作ノートにも触れ、人物と背景を同時に見せられる映画ならではの魅力を指摘している。