ホ・ボムウク監督の遺作アニメ、韓国で公開 人間社会を問う異形の物語
韓国のアニメーション監督ホ・ボムウクさんが手がけた長編『Pig That Survived Foot-and-Mouth Disease(口蹄疫を生き延びた豚)』が、10月21日に韓国の劇場で公開された。監督は7月、火災事故により42歳で亡くなっており、本作は遺作となった。
物語の中心にいるのは、口蹄疫の発生で殺処分される農場から生き残った豚H。人間だけが生き残れると思い込んだHは、豚であることを示す耳まで切り落とし、人間になろうとする。一方、軍隊でいじめを受け森へ逃げた兵士チェ・ジョンソクは、Hの血が混じった水を飲んで怪物ビッグフットへと変わる。人間でいることから逃れたい二人の願いが、別の苦境へつながっていく。
現実の記憶から生まれた問い
ホ監督は2013〜14年の口蹄疫流行時に豚の大量殺処分を目にし、「生き残った豚が戻ってきたらどうなるか」「人間の暗い面ばかりを見て育った豚に、人間とは何に見えるのか」と考えたという。人間同士が対立していても、根底ではつながっているという監督の関心が、作品の出発点になった。
本作は2024年、アヌシー国際アニメーション映画祭のミッドナイト・スペシャル部門で上映され、同年の富川国際ファンタスティック映画祭では韓国コンペティション部門の特別言及を受けた。長編デビュー作『On the White Planet』でも集団主義や疎外を描いてきた監督が、10年を経て再び人間社会の暗部に向き合った作品となる。