雨のGMFで響いたイ・ソクウォンの歌 「まだ歌いたい」胸打つ再会の夜
韓国のバンド、オンニネ・イバルグァンのイ・ソクウォンが10月18日、ソウルのオリンピック公園で開かれた「グランド・ミント・フェスティバル2026」に出演した。大雨で一部のステージが中断するなか、約10年ぶりとなる大型フェスの舞台に立った姿が注目を集めている。
ステージでは、歌詞を映し出す演出とともに楽曲を披露。「산들산들」を歌う途中、歌詞の一節に差しかかったところで声を詰まらせ、歌が止まる場面もあった。客席からは歌声が重なり、長く聴き続けてきたファンだけでなく、初めて彼のライブを見た若い観客も曲を口ずさんだという。
雨の夜にほどけた、長い時間
イ・ソクウォンはステージ上で、重くなった空気を冗談で和らげる一幕も見せた。スマートフォンに入っていた未発表のバラードのデモを再生し、音楽を通して観客とつながりたい気持ちをのぞかせた。演奏や撮影をめぐる独自のこだわりを保ちながら、客席との距離を確かめるような時間になった。
公演後の10月20日、本人はブログで「今、歌がとても歌いたい」と心境をつづった。これは新作の発表時期を告げたものではないが、創作への意欲を改めて伝える言葉として受け止められている。新たなエッセー『언젠가 이발관(いつか、床屋)』も刊行され、音楽と文章の両方から自身の歩みを振り返っている。
世代を越えて歌われる楽曲
1994年に結成されたオンニネ・イバルグァンは、1996年の『비둘기는 하늘의 쥐(鳩は空のネズミ)』や2008年の『가장 보통의 존재(最も普通の存在)』などを発表し、繊細な言葉とメロディーで韓国のインディー音楽シーンに足跡を残してきた。イ・ソクウォンはエッセーや小説も手がける作家として知られる。
今回の客席には、昔からのファンに加え、初めてライブに足を運んだ若い人たちも多かったという。雨のなかで共有された歌声は、バンドの曲が特定の時代の思い出にとどまらず、いま聴く人にも届いていることを感じさせた。