ヨン・サンホ監督『失楽園』公開 AIの息子と帰還した息子、母の選択を問う心理スリラー
ヨン・サンホ監督の新作映画『失楽園』が10月21日に韓国で公開された。9年前のキャンプスクールバス失踪事件で息子を失った母リュ・ソヨンのもとへ、死んだと思われていた息子リュ・ソヌが戻ってくることから始まる心理スリラーだ。物語は、AIによって作られた息子と、実際に生還した息子の間で揺れる母の思いを追う。
ヨン監督は、映画の出発点が母親の書いた約3ページの物語だったと語る。親子は近しいようでいて、互いを十分に理解しているとは限らない。その距離への関心から企画を広げ、母の原案にはなかったAIの設定を加えたという。AIの息子は独立した目的を持つ存在というより、ソヨンの心を映し、彼女が聞きたい反応を返す存在として描いた。
ソヌ役で映画初主演を務めたペ・ヒョンソンは、これまでの爽やかな印象と異なる役柄に挑んだ。キム・ヒョンジュとの母子役では、相手の演技から受け取る力が役作りを支えたと振り返っている。公開後に控える舞台あいさつや観客との交流も楽しみにしているという。ヨン監督は本作の観客動員目標を50万人とし、興行の数字よりも、結末に至るまでに観客が感じる過程を重視する考えを示した。
公開時のレビューでは、AIと母性愛、さらに帰還した息子をめぐる倫理的な問いが一作の中で十分に結びつかず、物語の焦点が揺れる点を課題として挙げた。一方で、キム・ヒョンジュの母親役の説得力と、従来のイメージを覆すペ・ヒョンソンの演技を評価している。作品が提示する問いと俳優たちの表現が、観客同士の議論につながるかも見どころになりそうだ。