湯湘竹、60歳で初の劇映画監督に 『沙央』の舞台を台湾へ移す提案も断った理由

台湾の映画監督・湯湘竹が60歳で初の劇映画『沙央』を完成させた。脚本は14年以上かけて練り上げ、マレーシア東海岸を舞台に、多民族の家庭で育つ若者たちの成長と家族の物語を描く。湯監督とプロデューサーの王禮霖がYahoo新聞のインタビューで、撮影の苦労や作品に込めた思いを語った。
撮影地はマレーシアのクランタン州とトレンガヌ州。機材の搬入に苦労し、宗教行事の時間には撮影を止める必要もあった。撮影開始まで残り1週間という時期に、劇中の廟を建てた土地の撤去を求められたが、地元の協力で別の私有地を借りて危機を乗り切ったという。海中撮影も海況や水の透明度の問題で東岸では難しく、離島へ移動。サンゴやウミガメはCGで表現した。
湯監督はかつて、物語の舞台を台湾へ移せば出資するという提案を受けたことも明かした。魅力的な話に感じて30秒ほど考えたものの、自分が描きたい内容とは異なるとして断ったという。映画制作に30年以上携わり、ドキュメンタリーを中心に活動してきた湯監督は、60歳を過ぎての初監督作を「人生でやり遂げるべき仕事」と表現。海への思いを軸に、マレーシアの風景と文化を作品に残した。
王プロデューサーは、多民族の物語は観客を集めるのが難しいと認識しながらも、異なる文化が共に生きる姿を描く意義を感じ、企画を後押しした。今回のインタビューでは、舞台を変えずに作品を形にした湯監督の判断と、現地で直面した制作上の難題が明らかになった。