キム・ミニ主演『目を置く場所がない』 済州の風音が映す家族との距離

ホン・サンス監督の新作『目を置く場所がない』では、済州島の強い風や飛行機の音が、キム・ミニ演じるサンヒの心の揺れを伝える。文化日報の映画評は、せりふを覆うほどの風音を、作品の粗さではなく、人物を取り巻く世界をそのまま映すための表現として読み解いた。
サンヒは10年ぶりに弟と母の家を訪れる。母や継父、その娘と過ごすなかで距離を感じ、自分の居場所を探していく。天候に結びついた章題や、外の音を抑えずに残す録音が、家族の間にある言葉にしにくい隔たりと響き合う。
終盤、サンヒが撮った短編にも風の音が残る。評者は、自然の音を整えすぎずに記録する手法に、世界と人間の関係を見つめる監督のミニマルな演出を見た。作品の焦点をホン監督自身よりも、サンヒを演じるキム・ミニに置いた点にも触れている。