映画『シン・シン/Sing Sing』レビュー 刑務所の舞台が生む再生の時間

グレッグ・クウェダー監督の映画『Sing Sing』が10月21日に日本公開された。KBSのレビューは、刑務所を暴力や勢力争いの舞台として描く従来の物語から離れ、受刑者が演劇を通して社会復帰への力を探る姿に焦点を当てている点を見どころに挙げた。
物語の軸となるのは、ニューヨーク州シンシン刑務所で行われてきた「芸術を通じた更生(RTA)」の演劇活動だ。受刑者たちは脚本を書き、舞台をつくり、演じる。映画では、実在の上演作『Breakin’ the Mummy’s Code』をめぐる創作の熱気と、刑務所の日常へ引き戻される瞬間が並ぶ。RTAの公式説明でも、主人公のモデルとなったジョン・ウィットフィールドとクラレンス・マクリンは同プログラムの卒業生で、マクリンは本人役で出演している。
KBSの評者は、塀の内側の冷たさを描きながら、演劇が参加者にとってひとときの癒やしとなり、仲間との関係や表現の喜びを支える過程を評価した。実際のプログラムに参加した人々が物語の核を担うことで、創作を通じて人が変わる可能性を、単なる希望論にせず具体的な経験として伝える作品になっている。日本公開版は106分、15歳以上鑑賞可。