Hoàng Thùy Linh、新曲「Thầy Dùi」で民話と美術をつなぐ映像世界を描く

Hoàng Thùy Linhが10月15日、新曲「Thầy Dùi」とミュージックビデオを公開した。2022年のアルバム『LINK』から約4年を経て始まる新たな音楽章の第一作で、民間信仰、絵画、ファッションを織り込み、歌と物語を一体化した「ミュージックムービー」として制作された。Kênh14は、作品が嫉妬や言葉の重み、周囲の影響を受けた人の選択を描くと紹介している。
ことわざを映像に変えた寓話
タイトルの「Thầy Dùi」は、他人をそそのかして対立を起こす人を指す言い回し。楽曲は「火を人に押しつける」「口を挟んで争いを起こす」といった慣用句を現代的なビートに重ね、MVでは「足を引っ張る」「橋を渡ったあとに板を外す」などの表現を連想させる出来事を連ねている。記事は、特定の悪役を描くよりも、噂や疑いが広がり、最後に当人へ返ってくる過程を寓話的に見せる構成だと読み解く。
歌詞には「教授」「軍師」「禅師」といった肩書きを並べた皮肉も登場する。知識や助言を装いながら他者を裁く姿勢への批評であり、作品はアーティスト自身をめぐる先入観や批判とも呼応する内容として紹介されている。
民間信仰、絵画、衣装が物語をつくる
映像は、暗い宇宙空間で人々が操り人形のように争う場面から始まる。Hoàng Thùy Linhは陶器の壺や屋根の上の鶏、地層や鉱石などへ姿を変え、ベトナムの母神信仰に結びつく三つの頭と九つの尾を持つ蛇の像「Ông Lốt Tam Đầu Cửu Vỹ」も現代的な造形で表現された。
絵画から着想を得た衣装も見どころだ。Võ Huỳnh Phúの作品『Non Bộ Con Người』をもとに、絵の人物を動く衣装へと展開。さらにMai Trung Thứが1958年、1961年、1974年に描いた三つのモナ・リザを参照し、現代のベトナムファッションと対話させた。花瓶に扮した姿は「飾りの花」といった女性アーティストへの決めつけに応じ、鶏の姿は「鶏は互いの鳴き声を妬む」ということわざを思わせる皮肉として読める。
Khắc Hưngとの再タッグで伝統のリズムを取り込む
音楽面では、2022年の『LINK』収録曲「Gieo Quẻ」「Hạ Phỏm」に続き、プロデューサーのKhắc Hưngと再び組んだ。チャウヴァン(ベトナムの祭祀歌謡)の太鼓のリズムを発想源に、民謡の語り歌と現代的なドラムを組み合わせ、鳥のさえずりや鐘、竹を打つ音なども加えている。伝統音楽を装飾として添えるだけでなく、楽曲の構造そのものに取り入れた点が、この作品の音と映像を結びつけている。